幸せのイチゴ。 | 知らんがな。

幸せのイチゴ。


僕にも何人かの、親友とよべる奴がいる。

その中の一人の話だ。

そいつとは、中学二年のときに出会った。

出席番号が、僕の次なので
席が前後だったりした。

その頃のそいつは、
ぽっちゃりで、どんくさいキャラだった。

ほんとに、どんくさい。

というか、間がわるい。

席は僕が前で、そいつが後ろなので
授業中とかよく、僕が後ろを向いて
そいつにしょうもないことを言っていた。

そして、そいつはそれにゲラゲラ笑っていた。

どうみても、うるさいのは僕だし
後ろ向いてるのは僕なのだが、
いつも先生から怒られるのは、
そいつだった。

体育の時間もそうだ。

整列して、僕が後ろむいて
ギャーギャーそいつにボケて
そいつは、笑わされてるだけなのに
先生になぐられるのは、そいつだ。

ここまでくると、とても面白かった。


そいつは、文房具が好きだった。

男のくせに、毎日のように文房具屋さんに行って
なんかよくわからない、サルとかスヌーピーとかの
消しゴムやら、シャーペンやらを買っていた。

僕には理解できなかったが
そいつはいつも、それを僕に自慢した。


先に言っとくと、僕もそいつも
成績はいたって、「バカ」の領域である。

なので、テスト前は大騒ぎだった。

あるテストでのできごとだ。

世界史かなんかだったと思う。

もう、ものすごい数の
『世界のデキゴト』を暗記しなくてはならず
「バカ」の領域にいる僕らは、
規模でいうと、『茨城県のデキゴト』ぐらいを暗記し、
『茨城県のデキゴト』から出題されることを
普段は、どうでもいい神様に祈るのみだった。

そんな、朝である。

そいつは、僕にこっそり言ってきた。

「俺、今日の世界史のカンニングペーパーつくってきたで。」

「まじで?」

「おー、見てみ。」

そいつは、ミッキーの筆箱からこっそりだした。

それは、教科書を縮小コピーして
完全に糊づけされた
『ミニ教科書』だった。

「すげー。おまえこれ、すごいなー。」

完全に糊づけして、『本』状になっていた。

「そやろ。これ回したろか?」

「おう、たのむわ。」

バカが集まるとこうなる。

関西人がふたり集まると、漫才になる。


そして、テストは始まった。

僕は、世界に飛び込んだ。

やっぱり、世界はデカかった。

茨城県でのデキゴトなんか
ほぼ見当たらない。。。

もう、こうなれば
『ミニ教科書』に頼るしかない。

そいつを待つことにした。

ドキドキである。

後ろでは、先生の目を盗み
『ミニ教科書』を奴がだしていた。


そのときである。

僕の鼻に、イチゴの香りが舞い込んできた。

ん? なんや?

明らかに、イチゴガム的な香りである。

誰か、ガムくーてんのかな?

ぷんぷんしてきた。

あっ! わかった!

こいつや。(後ろの親友)


前の日、そいつは『イチゴの糊』を
買ったと自慢していた。

においも、色もイチゴである。。。。

あれや。。。
こいつは、あれ、つこたんや。。。

目立つやんけ。。。


予想通りである。

先生が見回りで通ると、
僕たちのまわりだけ、
イチゴのにおいがぷんぷんだ。

先生は立ち止まった。

心なしか、ちょっとクンクンいってるのがわかる。

先生は、誰かがガムか、あめを食べてると思い
あたりを見回す。
(中学校は、買い食い禁止だった)

ぷんぷんにおうから、当たり前である。

そのおかげで、先生は
カンニングというよりも
買い食い犯人に意識を置き、
結局僕らの席付近は、要監視地域になった。

結果は、『町内史』レベルだった。。

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そんなどんくさいやつも、
高校になると、がむしゃらに勉強し
学年トップになった。

大学も、成績優秀で卒業し
今は、某都銀で活躍中である。

2月に結婚する。と
このまえ電話があった。

今から、結婚式での
スピーチがとても楽しみである。